道歌:あ行
あ | い | う | え | お |
【あ】
- 暁の 目覚めになりと 思いみよ 日々に三たびは 省みずとも
- あこがれて 出てゆくあとの 柴の戸に 月こそやがて 入り代わるらん
- 朝起きて 夕べに顔は 変わらねど いつの間にやら 年は寄りけり
- 朝起きの 家は朝日が 差し込んで 貧乏神の 入りどころなし
- 浅き瀬は 波風高く 聞こゆれど 深き浦には 音はなきなり
- 麻に添う 蓬を見れば 世の中の 人はともかく 友によるべし
-
朝寝して 茶の子このみの 大茶のみ ひるの朝めし 貧のもと也
・茶の子 … お茶菓子 - 朝寝する 家は朝日が 取り巻いて 貧乏神の 出どころもなし
- あさましや 老いや昔に 見し人を 思えば今の わが身なりけり
- 朝夕の 飯さえこわし 柔らかし ままにならぬが 浮世なりけり
- 悪しきこと 人は知らぬと 思うとも 天に口あり 壁に耳あり
- 悪しきとて ただ一筋に 捨つるなよ 渋柿を見よ 甘柿となる
- 明日ありと 思う心に だまされて 今日をむなしく 過ごす世の人
- 明日ありと 思う心の 仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは
- 仇をさえ 恩にて報う いわれあり 恩を忘るる 人は人かは
- 雨だれに くぼみし軒の 石見ても 堅きわざとて 思いすてめや
- 天地と 分かれしなかの 人なれば 下を恵みて 上を敬え
- 雨露に 打たるればこそ 紅葉葉の 錦を飾る 秋はありけれ
【い】
- 言う人も 言われる人も もろともに ただひとときの 夢のまぼろし
- 言う人も 言われるわれも もろともに 同じ蓮の 台なるらん
- 生かされて 生きるや今日の この生命 天地の恩 限りなき恩
- 石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種子は尽くまじ(石川五右衛門)
- 急がずば 濡れざらましを 旅人の あとより晴るる 野路の村雨(太田道灌『暮景集』)
- 痛き鍼 苦き薬に 熱き灸 苦しまんより かねて慎め(西沢一風『今長者物語』)
- 徒らに なすことなくて 過ぎにけり 思えば惜しき 身の昔かな
- 一日に 一時ずつの 早起きは 月に五日の 長生きぞかし
- 一休に 姿ばかりは 似たれども 心は雪と 墨染めの袖(大綱宗彦『大綱遺詠』)
- 一刻の 未来のほども 計られず いかで一時を あだに過ごさん
- 一生は 旅の山路と 思うべし 平地は少し 峠たくさん
- 一銭も 粗末になさず 種とせば 黄金花咲く 春に逢うべし
- 一銭を 軽く思わで 蓄えよ 塵も積もりて 山とならずや
- いつまでも あると思うな 親と金 ないと思うな 運と災難
- いつまでも あると思うな 親と金 ないと思うな 運と天罰
- 古の 聖の道を よく聞きて 及ばぬまでも 身には行なえ
- 古の 道を聞いても 習うても 身の行ないに せずば甲斐なし
- 古の 道を聞きても 唱えても わが行ないに せずば甲斐なし(島津日新公いろは歌)
- 井の中の 蛙と身をば 思いつつ 知らぬことをば ただ人に問え
- 井を掘りて 今一尺で 出る水を 掘らずに出ぬと いう人ぞ憂き(手島堵庵『児女ねむりさまし』)
- 今今と 今という間に 今ぞなく 今という間に 今ぞ過ぎ行く
- 今までは 他人が死ぬとは 思いしが 俺が死ぬとは こいつぁたまらん(蜀山人)
- 色黒く 顔の悪しきは 生まれつき 直せば直る 心直せよ
【う】
- 上見れば 及ばぬことの 多かりき 笠着て暮らせ おのが心に(心学道話)
- 上見れば 及ばぬことの 多かれど 笠脱ぎて見よ 及ぶ限りを(平田 篤胤)
- 上見れば 欲しい欲しいの 星だらけ 笠着て暮らせ おのが心に
- うかうかと 暮らすようでも 瓢簞の 胸のあたりに しめくくりあり(大綱宗彦『大綱遺詠』瓢画賛)
- 浮世をば 何のへちまと 思うなよ ぶらりとしては 暮らされもせず(一休蜷川狂歌問答)
- 浮世をば 何のへちまと 思えども ぶらりとしては 暮らされもせず(鯛屋貞柳)
- うち向かう 鏡に親の 懐かしき わが影ながら 形見と思えば(滝沢馬琴)
- 美しき 花によき実は なきものぞ 花を思わず 実の人となれ
- 現し身を 思うぞ長き 過ぎ来れば 二十年三十年 四十年五十年
- 討つ者も 討たれる者も 土器よ 砕けて後は もとの土くれ(三浦義同)
- 生まれては 死ぬるなりけり おしなべて 釈迦も達磨も 猫も杓子も(一休蜷川狂歌問答/一休咄)
【え】
- 栄華とは 栄える華と 書くなれば 咲いて乱れて 後は散るなり
- 餌運ぶ 親のなさけの 羽音には 目をあかぬ子の 口をみなあく(二宮尊徳)
【お】
- 大かたの 世捨て人には 心せよ 衣は着ても 狐なりけり(大綱宗彦『大綱遺詠』白蔵主画賛)
- 起き上がり 小法師を見ても 世渡りは 転びては起き 転びては起き
- 怠らず 行かば千里の 末も見ん 牛の歩みの よし遅くとも(坂 静山)
- 奢りぬる 人の栄華は 仇花の 早くも散りて 実はなりもせず
- 恐るべき 槍より怖き 舌の先 これがわが身を つき崩すなり
- 恐るべし 色と酒との 淵に身を 沈むと知って はまるものなり(脇坂義堂『御代の恩沢』)
- 落ちぶれて 袖に涙の かかるとき 人の心の 奥ぞ知らるる
- おのが身の 老いゆくことは 忘られて 人となる子の末ぞ 待たるる
- おのが目の 力で見ると 思うなよ 月の光で 月を見るなり
- 思い切れ 切らねば 一個の武者ならず 百まで生きぬ 人の世の中
- 思いやれ 使うも人の 思い子ぞ わが思い子に 思い比べて
- 思うこと ひとつかなえば またひとつ かなわぬことの あるが世の中
- 思うべし 人はすりこぎ 身はしゃもじ 思い合わぬは われゆがむなり
- 重くとも わが荷は人に 譲るまじ 担うにつれて 荷は軽くなる
- 親の子を 思うほどには 子も親を 思うて親に 尽くせ子の道
- 親のまえ 不孝のみにて 神ほとけ 助けたまえと 言うぞおかしき
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た行 | な行 | は行 |
ま行 | や行 | ら行 |
わ |