道歌:さ行
さ | し | す | せ | そ |
【さ】
- 先に行く あとに残るも 同じこと 連れて行けぬを 別れぞと思う(徳川家康)
- 咲くもよし 散るも吉野の 山桜 ただ春風に 任せてぞみん
- 酒飲みが 酒に飲まるる 世の習い 飲まれぬように 飲むか酒飲み(小山駿亭『心学いろはいましめ』)
- さしあたる そのことばかり 思えただ 帰らぬ昔 知らぬ行く末(良寛『蓮の露』)
- 三寸の 舌で五尺の 体をば 養いもする 失いもする
- 三度炊く 米さえこわし 柔らかし 思いのままに ならぬ世の中
【し】
- 下見れば われに勝りし 者はなし 笠取りて見よ 天の高さを
- 慈悲じゃとて 施すものは 虚栄心 受ける者には 増す依頼心
- 霜を経て 匂わざりせば 百草の 上には立たじ 白菊の花(税所 敦子)
- 釈迦という いたずら者が 世に出て 多くの人を 迷わするかな(一休宗純『水かがみ』)
- 十人は 十色なりける 世の人の 誠は心 ひとつなりけり
- 正直に 建った柱は 細くとも 羽蟻もつかず 朽ちもせぬなり
- 正直の 杖を力に ゆくこそは 欲に目のなき 人にまされり
- 小人は 順を好み逆を厭い 生を愛し死を憎みて 願いのみ多し
- 上手には 好きと器用と 功積むと この三つ揃う 人ぞよく知る(利休道歌)
- 知らぬ道 知ったふりして 迷うより 聞いていくのが ほんの近道
- 知るとのみ 思いながらに 何よりも 知られぬものは 己なりけり
- 真実で よし一時は 負けるとも 虚偽で勝つには まさりけるかな
【す】
-
酔狂や おどけ女狂い 博奕うち 能なき人に 知音はしすな(見咲三百首和歌)
・知音 … 友人。 - 末ついに 海となるべき 山水も かねて木の葉の 下くぐりけん
- 涼しいけりゃ 涼しすぎると 人の口 戸は立てられぬ 夏の夕暮れ
- 涼しさは たぐいも更に 夏山の 峰より落つる 音なしの滝(大綱宗彦『大綱遺詠』音無しの滝画賛)
【せ】
- 銭金を わがもの顔に 頼むなり おっつけ土と なるも思わで
- 千畳の 座敷持ちても 何かせん たった寝床は 畳一枚
- 千万石 積み重ねたる 米の山も 一つひとつの 俵より成る
- 千里ゆく 道もはじめは ひと歩み 低きよりして 高く登りつ
- 千両箱 富士の山ほど 積んだとて 冥土の土産に なりはすまいぞ
【そ】
- 宗鑑は いずくへと人の 問うならば ちと用ありて あの世へと言え(山崎宗鑑)
- その道に 入らんと思う 心こそ わが身ながらの 師匠なりけれ(利休道歌)
- 空渡る 雁の一行 見るにつけ 世にうれしきは 友にぞありける
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | な行 | は行 |
ま行 | や行 | ら行 |
わ |