道歌:か行
か | き | く | け | こ |
【か】
- かかる時 さこそ命の 惜しからめ かねて亡き身と 思い知らずば(太田道灌)
- 稼ぎなば 貧乏神は 裸足にて 追いつく隙は さらになからん
- 片寄らず 我が身は船と 心得て 時勢の風に 逆らわず行け
- 語るなと 人に語れば その人は また語るなと 語る世の中
- 門松は 冥土の旅の 一里塚 馬かごもなく 泊まりやもなし(一休蜷川狂歌問答)
- 門松は 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし(一休宗純)
- 角もあれ 丸くもあれよ 人心 物に従い 事に応じて
- 家内中 仲悪しければ 地獄なり 仲がよければ いつも極楽
- 家内中 仲のよいのが 宝船 心やすやす 世を渡るなり
-
金金と 騒ぐ中にも 年が寄り その身が墓に 入相の鐘
・入相の鐘 … 夕方、寺でつく鐘。 - 金金と やたらに金を かきこんで 金の重さに 腰が折れけり
- 金欲しや 地獄の沙汰も 金次第 とはいえ金で ゆけぬ極楽
- 壁に耳 石のもの言う 世の中に 人知れずとて 悪しきことすな
- 神ほとけ 拝まぬ先に 親拝め 神やほとけも うれしかるらん
- 借りるときは 頭の上に いただけど 返さぬ傘は 足下にあり
- 可愛くば 五つ教えて 三つほめて 二つ叱りて よき人にせよ
- 可愛くば 二つ叱って 三つほめ 五つ教えて よき人となせ
- 我を捨てて 人に物問い 習うこそ 智恵を求むる 秘法なりけり
- 堪忍の なる堪忍が 堪忍か ならぬ堪忍 するが堪忍
- 堪忍の なる堪忍は 誰もする ならぬ堪忍 するが堪忍
- 堪忍の 袋を常に 胸にかけ 破れたら縫え 破れたら縫え(徳川家康)
【き】
- 昨日といい 今日と暮らして 飛鳥川 流れてはやき 月日なりけり(春道列樹『古今和歌集』)
- 気は長く 勤めは堅く 色薄く 食細うして 心広かれ
- 気持ちをば 安く大きく 角もなく 油断をせずに 抜け目なく持て
- 客あれば 犬だに打たぬ ものなるに 科ありとても 人な叱りそ
- 今日限り 今日を限りの 命ぞと 思いて今日の 勤めをばせよ
- 今日ほめて 明日悪く言う 人の口 泣くも笑うも うその世の中(一休宗純)
- 器用さと 稽古と好きの その内で 好きこそものの 上手なりけれ(利休道歌)
- 金銀は 慈悲と情と 義理と恥 身の一代に 使うためなり
- 金銀は 世の宝なり 蓄えて 人のためとも なすぞ尊き
- 金銀を 使い捨てるも たわけ者 食わずに貯める 人もばか者
【く】
- 草枯らす 霜は朝日に はやとけて 因果は巡る 小車の跡
- 苦にやむな 金は世上に 撒いてある 欲しくばやろう 働いて取れ
- 苦しみて 後に楽こそ 知らるなれ 苦労知らずに 楽は味なし
【け】
- 稽古とは 一より習い 十を知り 十より返る もとのその一(利休道歌)
- 賢人も おちどあやまり 有りと知り 人のあやまり 笑うべからず
【こ】
- 小石をも よけてそろそろ はびこりて 木の根はついに 岩を割るなり
- 孝行を したい頃には 親はなし 孝のしどきは 今とこそ知れ
-
弘法は 虚空の定に 入りもせで 心狭くも 穴に入るかな(一休道歌評釈)
・高野山で弘法大師入定の穴を見て詠んだ歌。弘法大師は「入りぬれば 虚空も定も ないものを 心狭くも 穴と見るかな」と返歌されたという。 - 越えなばと 思いし峰に 来てみれば なお行く先は 山路なりけり
- 極意とて 別にきわまる 事もなし 絶えぬ心の たしなみをいう(天道流薙刀術道歌)
- 極楽も 地獄も先は 有明の 月ぞ心に かかる雲なき(上杉謙信)
- 極楽や 地獄があると だまされて 喜ぶ人に 怖じる人々(一休蜷川狂歌問答)
- ここも憂し かしこも憂しと 思うなよ いずこも同じ 秋の夕暮れ
- 心こそ 心迷わす 心なれ 心に心 心許すな(鳩翁道話)
- 心には 綾錦をも 着せよかし 身にはつづれの 衣着るとも
- こころよく 人ごと言わず 慇懃に 慈悲ある人に 遠慮ある人
- 心をば 墨の衣に 染めなして 身をば浮き世の あるにまかせて(一休和尚法語)
- 心をば 使うことなく 休めおき 身をば暇なく 使うべきなり(西沢一風)
- 去年の実は 今年の種と なりにけり 今年の実り 来ん年の種
- この秋は 雨か嵐か 知らねども 今日の勤めに 田草取るなり
- 子は親に 似たるものぞと 亡き人の 恋しきときは 鏡をぞ見よ
-
子を思う 親の重荷の 四手籠 しばしも休む 息杖はなし
・四手籠 … 四本の竹を柱とし、割り竹を組んで作った粗末なかご。江戸時代の庶民の乗用。
・息杖 … 荷物をかついで運ぶ人が休む時、かついだ荷物をささえるための長い杖。 - 子を思う 親をば思え 人の子よ 子を持ちて知る 親の心
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | な行 | は行 |
ま行 | や行 | ら行 |
わ |