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癡人猶戽夜塘水

癡人猶戽夜塘水

じんとうみず

『碧巌録』第七則
三級浪高魚化龍、癡人猶戽夜塘水
さんきゅうなみたかくしてうおりゅうし、じんとうみず
  • 三級 … 三段になった滝のこと。
  • 夜塘水 … 『新版 禅学大辞典』には、「暗夜における何もなくなった沢水で、後人の愚かな空しい言句上の探索にたとえる。竜門三級の浪は高いが、そこを魚が登ると竜になってしまう。しかし痴人は魚が登って竜となって行ってしまったあとの何もいない塘水、すなわち沢の水を、夜汲んで、魚を得ようとする愚行を言う」とある。
  • 入矢義高監修/古賀英彦編著『禅語辞典』には、「竜門の三段の堰の高なみを上って魚はすでに竜となったのに、愚かものが魚を捕えようと、なお夜の淵の水をかい出している。言葉づらにとらわれて、勘所を押さえきれない愚かさを喩える」とある。【三級浪高魚化竜、痴人猶戽夜塘水】
  • 柴山全慶編『禅林句集』には、「鯉は疾くに龍となつて禹門の三級を上つたのに、馬鹿者が何時迄も水をかえている」とある。【三級浪高魚化龍痴人猶戽夜塘水】
  • 『禅語字彙』には、「禹帝治水の時、龍門の瀧を切り開きて三段と爲せり。此三段の瀧を、春三月三日桃花の咲く時鯉魚が跳び越へると、火を發して尾を焦き角を生じて龍となるといふ。鯉魚が已に龍と化したのも知らずに、愚人は暗夜の池水を汲み干して鯉を探して居るは見るに堪へぬ」とある。【三級浪高魚化龍痴人猶戽夜塘水】
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