澗水湛如藍
澗水湛えて藍の如し
『碧巌録』第八十二則
擧、僧問大龍、色身敗壞、如何是堅固法身。龍云、山花開似錦、澗水湛如藍。
挙す、僧、大龍に問う、色身は敗壊す、如何なるか是れ堅固法身。龍云く、山花開いて錦に似たり、澗水湛えて藍の如し。
- 色身 … 中村元著『佛教語大辞典』には、「物質的な身体。肉身。肉体。肉体としての身体。地・水・火・風・空など物質的要素でできている肉身、肉体。生まれながらの身体。生身。すがたかたち」とある。
- 堅固法身 … 中村元著『佛教語大辞典』には、「何物にも破壊されることのない真実の仏の本体。自己の心中に存する真実堅固な常住の仏」とある。
- 澗水 … 谷川の水。
- 『新版 禅学大辞典』には、「大竜と一僧との堅固法身についての商量。(中略)大竜智洪に一僧が『この肉體は死んで無くなるが、無くならぬ堅固法身は如何なるものか』と問うたのに対し、大竜が『山花開いて錦に似たり、澗水湛えて藍の如し』と示したもの。これは眼前の風景を言ったものではなく、思量分別を離れた真如実相を直指したもの」とある。【大龍堅固法身】
- 入矢義高監修/古賀英彦編著『禅語辞典』には、「山花は錦模様に咲きみだれ、谷水は藍の色に澄む」とある。【山花開似錦、澗水湛如藍】
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「山水の景色の美しさ。現實そのままが悟りの妙景」とある。【山花開似錦澗水湛如藍】
- 『禅語字彙』には、「色心不二、徧界曾て蔵さゞるを示すなり」とある。【山花開似錦澗水湛如藍】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……実はこの僧まだ生悟りで、(中略)体からみた色身と、相からみた色身と、また用からみら敗壊とを全く別個なものとみて問いを発しているのである。大龍はその誤りを正し、色身即法身、法身即色身であることを知らしめてやろうという肚で、『(中略)今美しく咲きにおうているが、一夜の嵐に吹き散ってしまうあの山桜、また今美しく清らかに流れている谷川の水とても干上がる時もあるが、その澗水がそのまま堅固法身の当体じゃぞ』と示したのである」とある。【山花開似錦 澗水湛如藍】
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