遍界不曾藏
遍界曾て蔵さず
『景徳伝灯録』巻十五、石霜慶諸章
咫尺之間、爲什麼不覩師顏。師曰、我道遍界不曾藏。
咫尺の間、什麼としてか師の顔の覩えざる。師曰く、我が道は遍界曾て蔵さず。
- 咫尺 … 非常に近い距離。
- 遍界 … 全世界。徧界とも。
- 『新版 禅学大辞典』には、「この全宇宙には何物をも包みかくすことはないこと。真実はいたるところにありのままの姿で顕現している。眼前に露堂堂する一切万象がそのまま本来の面目の当体露現であるということ」とある。【徧界不曾藏】
- 入矢義高監修/古賀英彦編著『禅語辞典』には、「世界中あまなく隠しだてしたことはない。常に堂々とあらわれ出ている」とある。【徧界不曽蔵】
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「眞性はどこにもかしこにもムキ出しだ」とある。【遍界不曾藏】
- 『禅語字彙』には、「諸法即實相の意。山の高き地の低き、何れも皆法身の現露なるをいふ」とある。【徧界不曾藏】
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