十方世界現全身
十方世界に全身を現ず
『無門関』第四十六則
石霜和尚云、百尺竿頭、如何進歩。又古徳云、百尺竿頭坐底人、雖然得入未爲眞。百尺竿頭、須進歩十方世界現全身。
石霜和尚云く、「百尺竿頭、如何が歩を進めん」。又た古徳云く、「百尺竿頭に坐する底の人、得入すと雖然も未だ真と為さず。百尺竿頭、須らく歩を進めて十方世界に全身を現ずべし」。
- 百尺竿頭 … 百尺もある長い竿の先。
- 『新版 禅学大辞典』には、「十方世界の広大な空間が、自己の全身であるという意。空間の広大さを絶した宇宙大が自己そのものであること」とある。【十方世界是全身】
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「向上を極めたら向下に向つて一歩を進め、到る處に出現して衆生を教化する」とある。【百尺竿頭進一歩十方刹土現全身】
- 『禅語字彙』には、「向上を極めて向下門に一歩を進め、到る處に出現して衆生を濟度する。刹土は國土なり」とある。【百尺竿頭進一歩十方刹土現全身】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……長沙景岑は『百尺竿頭須らく歩を進めよ、そうすれば悟りが開け、その開けた眼で眺めれば、山川草木悉皆成仏で、十方世界みな仏の相・仏の全身ならざるはない』という意味で『百尺竿頭須らく歩を進むべし、十方世界是れ全身』と頌じたのであったが、無門はそれをさらに端的に『死人禅の穴蔵に自己陶酔しておらず、命がけでそこから跳び出し、天上天下唯我独尊と起ちあがり、尽十方世界に自家屋裡の法身仏の全体を堂々と現ぜよ』と、修行僧を激励したのであった」とある。【十方世界現全身】
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