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風暖鳥聲碎

風暖鳥聲碎

かぜあたたかにしてちょうせいくだ

杜荀鶴「春宮しゅんきゅう」(三体詩)
早被嬋娟誤
つと嬋娟せんけんあやまらる
欲粧臨鏡慵
よそおわんとほっしてかがみのぞんでものう
承恩不在貌
おんくるは かたちらず
教妾若爲容
しょうをして若為いかかたちづくらしめん
風暖鳥聲碎
かぜあたたかにしてちょうせいくだ
日高花影重
たかくしてえいかさなる
年年越溪女
年々ねんねん 越渓えっけいじょ
相憶採芙蓉
あいおもう ようみしことを
  • 春宮 … 『全唐詩』等では「春宮怨」に作る。
  • 『新版 禅学大辞典』には、「砕はうちとける。春風裡に鳥がなめらかに囀り歌っている、のどかなる景色。平常無事底をいう」とある。【風暖鳥聲碎】
  • 柴山全慶編『禅林句集』には、「ものうい程の春たけなわな好景これ又圓滿なる眞實相の妙趣である」とある。【風暖鳥聲碎日高花影重】
  • 『禅語字彙』には、「春懶の景なり」とある。【風暖鳥聲碎日高花影重】
  • 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……暖い春風がソヨソヨと吹きわたると、百鳥のとりどりのさえずりが一段とにぎやかになる。太陽が高く上りなんちゅうすると、繚乱と咲いた花とその影とが重なって一つとなる。(中略)美しくのどかで、なごやかな春景色を叙しえて妙な佳句である。しかし、(中略)単にこの句が叙景詩として美しく秀逸だからだけではない。そこにいささかの作意もない大自然の摂理の妙を看取し、かつ美しくも平和な極楽世界、(中略)天下泰平・万民和楽の世界、いわゆる事々じじ無礙むげ法界ほっかいの景観をそこに読みとるからなのである」とある。【風暖鳥声砕 日高花影重】
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