莫妄想

莫妄想（まくもうぞう）

『五（ご）灯（とう）会（え）元（げん）』、『碧巌録』他

〔五灯会元、巻十、正勤希奉禅師〕
問、如何是脱却根塵。師曰、莫妄想。

問（と）う、「如何（いか）なるか是（こ）れ根塵（こんじん）を脱（だっ）却（きゃく）する」。師（し）曰（いわ）く、「妄想（もうぞう）すること莫（なか）れ」。

『新版禅学大辞典』には、「妄想は二見にわたる分別心のことで、妄念することなければ直ちに菩提の果が得られる。唐代頃から盛んに用いられている禅語で、学人の所問に対し、師家はしばしばこの語をもって答えている」とある。【莫妄想】
入矢義高監修／古賀英彦編著『禅語辞典』には、「実体のないものを実体あるものとして捉えたりするような、要するにまともでない思いを起こすな。正念を起こせ」とある。【莫妄想】
柴山全慶編『禅林句集』には、「妄想すること莫れ。くだらぬことを考えるな」とある。【莫妄想】
『禅語字彙』には、「莫は、無と制止の義あり。妄想は虚妄の思想にして、顚倒の迷念をいふ。機語に云ひ、また輕く、下らぬことをいふなの意なることあり。無業和尚は一生この莫妄想の一句にて學人を接得せり」とある。【莫妄想】

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