拈華微笑
拈華微笑
『無門関』第六則
世尊、昔在靈山會上、拈花示衆。是時衆皆默然、惟迦葉尊者破顏微笑。
世尊、昔、霊山会上に在って、花を拈じて衆に示す。是の時、衆皆な黙然たり、惟だ迦葉尊者のみ破顔微笑す。
- この話は偽経である『大梵天王問仏決疑経』拈華品第二(続蔵経 第一冊 No. 27)に見える。
- 拈花 … 花をつまむこと。
- 『新版 禅学大辞典』には、「……釈尊が一枝の金波羅華を拈じて、言説を超えた佛法の端的を示したところ、迦葉のみが、その密意を知ってにっこりと微笑したという因縁」とある。【世尊拈華微笑】
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「世尊花を拈ずれば、只一人迦葉のみ破顔微笑す。以心傳心の端的をいう」とある。【拈華微笑】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「『拈華微笑』は、『教外別伝・不立文字』を標榜し、『以心伝心』による伝法・嗣法を重んじる禅宗の成立と、その正統性を説く根拠として、古来、禅宗史の第一頁に記される故事因縁である。(中略)この因縁は後世の偽経とされる『大梵天王問仏決疑経』に記されているだけで、他の経典にはみえない。これが歴史的な事実であるか否かは問題であるが、少なくとも禅宗史上の真実であることは疑いがない」とある。【拈華微笑】
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