庭寒月色深
庭寒くして月色深し
厳維「普・選二上人に酬ゆ」(三体詩)
夜靜溪聲近
夜静かにして 渓声近く
庭寒月色深
庭寒くして 月色深し
- 厳維 … 713~?。盛唐の詩人。字は正文。越州山陰(今の浙江省紹興市)の人。至徳二載(757)、進士に及第。官は余姚の県令に至る。詩集『厳正文詩集』一巻がある。ウィキペディア【严维】(中文)参照。
- 普・選 … 僧名の略称と思われるが、人物については未詳。
- 上人 … 僧侶の敬称。
- 酬 … 詩(あるいは物品)を贈られた者が、これに対し詩を作って答えること。
- 月色 … 月の光。
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「現實そのままが悟りの妙景」とある。【夜靜溪聲近庭寒月色深】
- 『禅語字彙』には、「現成底なり」とある。【夜靜溪聲近庭寒月色深】
- 有馬頼底監修『茶席の禅語大辞典』には、「……夜に入ってあたり一面が静かになると、遠くの谷川のせせらぎが間近に聞こえ、気温が下がって庭が寒気で満たされると、月の光が澄み切ってさらに深い色で輝き出す。とらわれや苦悩・怒りなど、心の中のあらゆるざわめきが消えて静かな境地が得られると、人々が本来持っている仏の本性の輝きが一層際立って、生き生きとしたはたらきがあらわれることのたとえ」とある。【夜静渓声近 庭寒月色深】
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