廓然無聖

廓然（かくねん）無（む）聖（しょう）

『景徳伝灯録』、『碧巌録』第一則

〔碧巌録、第一則〕
擧、梁武帝、問達磨大師、如何是聖諦第一義。磨云、廓然無聖。

挙（こ）す、梁（りょう）の武（ぶ）帝（てい）、達（だる）磨（ま）大（だい）師（し）に問（と）う、如何（いか）なるか是（こ）れ聖（しょう）諦（たい）第一（だいいち）義（ぎ）。磨（ま）云（いわ）く、廓然（かくねん）無（む）聖（しょう）。

『新版禅学大辞典』には、「廓然とした大悟の境地からみれば、そこには凡とか聖とかの区別はなく、凡として捨てるべきものもなく、聖として求むべきものもない意」とある。【廓然無聖】
入矢義高監修／古賀英彦編著『禅語辞典』には、「『廓然』はあけっぱなしのさま。からりとして『聖』という絶対価値さえ消えた世界」とある。【廓然無聖】
柴山全慶編『禅林句集』には、「大空にカラツと晴れ渡つているように胸中一點の曇りもなく、凡と聖、有と無といつた二元的對立の全くない境界。大悟徹底の境地を指す」とある。【廓然無聖】
『禅語字彙』には、「廓然は、大空に境域無き如く、洞豁明了の義。無聖は、佛とか聖とかの、差別的のもの無きをいふ。相對觀を滅したる絶對平等の大法を示せる、達磨の有名なる語なり」とある。【廓然無聖】

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