金風吹玉管
金風玉管を吹く
『臨済録』行録
到三峯。平和尚問、什麼處來。師云、黄蘗來。平云、黄蘗有何言句。師云、金牛昨夜遭塗炭。直至如今不見蹤。平云、金風吹玉管、那箇是知音。
三峰に到る。平和尚問う、什麼の処よりか来たる。師云く、黄檗より来たる。平云く、黄檗何の言句か有る。師云く、金牛昨夜塗炭に遭う。直に如今に至るまで蹤を見ず。平云く、金風玉管を吹く、那箇か是れ知音。
- 三峰 … 三峰院の平和尚。伝記不明。
- 金風 … 秋風。
- 玉管 … 玉でつくった笛。玉琯。
- 那箇 … ここでは「誰が」の意。
- 知音 … 音楽を聞き分ける人。
- 『禅語字彙』には、「秋風玉笛を吹て秘曲を奏せども、是を聞き分ける知己は無きをいふ」とある。【金風吹玉管那箇是知音】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……玉管が金風をうけておのずから鳴り出すその音色というものは、まさに妙なる天然の音楽というものであり、しかもその音色、今聞こえていたかと思えばすぐ空に消えて蹤跡をとどめない。といって、この妙音、金風と玉管とがなければ発しないわけではない。(中略)しかし『那箇か是れ知音』、何人がよくこの微妙な音色を聞きわけ、それを味わいうるであろうか。また、この音色、どうしたらよく聞きうるであろうか」とある。【金風吹玉管】
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