聖朝無棄物
聖朝に棄物無し
杜甫「客亭」
秋窗猶曙色
秋窓 猶お曙色
落木更天風
落木 更に天風
日出寒山外
日は出づ 寒山の外
江流宿霧中
江は流る 宿霧の中
聖朝無棄物
聖朝 棄物無し
老病已成翁
老病 已に翁と成る
多少殘生事
多少ぞ 残生の事
飄零似轉蓬
飄零 転蓬に似たり
- 『全唐詩』巻二百二十七、ウィキソース「全唐詩/卷227」参照。
- 聖朝 … 立派な朝廷。時の朝廷を尊んでいう言葉。
- 棄物 … 棄てるべき物。見捨てられる者。
- 曙色 … 夜明けの色。
- 天風 … 空を吹く風。
- 宿霧 … 前夜から立ち込めている霧。
- 老病 … 年老いて病身であること。
- 多少 … どれほどだろうか。
- 残生 … 残りの人生。
- 飄零 … 木の葉がひらひらと落ちること。転じて、落ちぶれること。
- 転蓬 … 風に吹き飛ばされて転がっていく蓬。
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「聖人の世には、すたり物はない」とある。【聖朝無棄物】
- 『禅語字彙』には、「萬民皆其處を得て樂むの意」とある。【聖朝無棄物】
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