竹有上下節
竹に上下の節有り
『五灯会元』巻十八
〔大潙祖瑃禅師〕
僧問、如何是潙山家風。師曰、竹有上下節、松無今古青。
僧問、如何是潙山家風。師曰、竹有上下節、松無今古青。
僧問う、「如何なるか是れ潙山の家風」。師曰く、「竹に上下の節有り、松に今古の青無し」。
- 「竹有上下節 松無今古青」 … 『禅林句集』では「松無古今色 竹有上下節」と、前後の句が入れ替わっている。
- 古今色 … 出典では「古今青」に作る。
- 『新版 禅学大辞典』には、「『松無古今色』の対句。物がそれぞれの本性を発揮してあるべきようにあること」とある。【竹有上下節】
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「平等と差別。自らの性を違えずそのまま眞理の妙を示す」とある。【松無古今色竹有上下節】
- 『禅語字彙』には、「『松無古今色』と對句す。物は皆其位に安住するの意にいふ。また『松無古今色』の句を以て眞諦を示し、『竹有上下節』の句を以て俗諦を示すことあり」とある。【竹有上下節】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……人間平等の面だけを主張して男女・老幼の差別を無視するのも、また逆に貧富・上下の差別だけを認めて人間としての平等を認めないのも、ともに物事の一面しかみないもので謬見である。平等でありながらそのままで差別歴然、差別歴然でありながらしかも一味平等、平等即差別・差別即平等と観ずるのが、真理にかなった円満な見解である。(中略)この対句は『松に古今の色無し』で平等一色の面を、『竹に上下の節有り』で差別歴然の面をうたい、全体として平等即差別・差別即平等の真理を表現しているのである」とある。【松無古今色 竹有上下節】
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