遠山無限碧層層
遠山限り無き碧層層
『碧巌録』第二十則
堪對暮雲歸未合、遠山無限碧層層。
対するに堪えたり、暮雲の帰って未だ合せざるに、遠山限り無き碧層層。
- 『新版 禅学大辞典』には、「山また山と限りなく重なり、青また青と限りなく続くこと。悟りの上にさらに悟りがあり、向上の道の無限を示したもの」とある。【遠山無限碧層層】
- 入矢義高監修/古賀英彦編著『禅語辞典』には、「遠山は果てしなく幾重にもみどりなしてつらなる。仏法の深遠さを喩える」とある。【遠山無限碧層層】
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「句のまま。本地の風光。言外無限の悟りの妙趣」とある。【遠山無限碧層層】
- 『禅語字彙』には、「山また山と、遠近次第に相重なり、青また青と、限りなく続いてゐる。禪旨あり、參じて知るべし」とある。【遠山無限碧層層】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……ヤレヤレという気分で窓外に眼を転ずると、夕陽に彩られた数片の雲が悠々と流れて行く。そして、その暮れなずむ空の下に一昨日登った山・昨日苦労した山・今日越えてきた山、またそれに連なる山やまが碧あおと幾重にも重なって望まれる。(中略)禅の修行の道程とそれに伴う境涯の向上とを、図と偈頌とで解説した禅書に『十牛図』というものがある。(中略)ところで、この第七『忘牛存人』の段階というものは、迷いはもとより悟りの臭みをもきれいに拭い去り、自己人格の完成という仏道修行の目的の一半をなしとげた段階であり、これを別に『長い苦しい旅を終えてわが家に帰り、威儀も軌範も忘れてドッカと安坐する』境涯という意味で、『帰家穏坐の境涯』ともいうのである。この『対するに堪えたり……』の二句は、まさにその帰家穏坐の境涯を頌じたものなのである」とある。【遠山無限碧層々】
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