雲無心以出岫
雲無心にして以て岫を出ず
陶淵明「帰去来の辞」
雲無心以出岫
雲無心にして以て岫を出で
鳥倦飛而知還
鳥飛ぶに倦んで還るを知る
- 類語に「雲無心にして岫を出ず(雲無心出岫)」がある。
- 岫 … 山中の岩穴。
- 倦 … 疲れる。
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「自己を忘じた無心の用處をいう。又現成そのままが悟りの妙趣」とある。【雲無心以出岫鳥倦飛而知還】
- 『禅語字彙』には、「自己を忘じた行履をいふ」とある。【雲無心而出岫鳥倦飛而知歸】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……『岫』とは辞書に『山に穴あるを岫となす』とあり、山腹の洞穴のことであるが、もっと広く山の谷あいの意味にとってもよい。その岫に雲がおのずから湧き起こり、湧き起こった雲には岫に留まろうの出ようのという作意は少しもない。しかも、その雲はおのずから岫を出て、どんな形をとろうの、どこへ流れて行こうのという、はからい心もないが、千姿万態をなしてあるいは東、あるいは西へと悠々と流れて行く、というのがこの句の一応の意味である。(中略)雲のように無心にしかも無礙自在に、水にも似てその相を千変万化しつつ、しかもいささかの凝滞もなく、また飛ぶのにあきればおのずから巣に帰る鳥のように自然法爾に生きること、総じて自己を千鍛百錬して無作無心の境涯に到り、脱洒自在に生きること、これが禅者の理想である」とある。【雲無心出岫】
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関連リンク
- 陶淵明(ウィキペディア)
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