松樹千年翠
松樹千年の翠
『続伝灯録』巻三十五
松柏千年靑、不入時人意。牡丹一日紅、滿城公子醉。
松柏千年の青、時人の意に入らず。牡丹一日の紅、満城の公子酔う。
- 松樹 … 松の木。
- 『禅林句集』では「松樹千年翠」であるが、出典の『続伝灯録』では「松柏千年青」に作る。
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「松樹不斷の眞説法も心を向けぬ者には聞えぬ」とある。【松樹千年翠不入時人意】
- 『禅語字彙』には、「松は千年に不斷の法を説て居るが、世人は一向に注意をせぬの意」とある。【松樹千年翠不入時人意】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「『松柏千年翠』というこの五字一行は、一般にはいつか『松樹千年翠』と変り、『青松多寿色』という句などと同じように、おめでたい句として茶席に使われているようである。(中略)当時の禅界に大きな足跡をのこした禅僧に石田法薫(1171~1245)という和尚がある。この『松柏 千年翠』という句は、実はこの石田の示衆の法語から出ているのである。(中略)石田はこの偈に託して、『世の人びとは、千古不易な本体には意をとどめず、たちまちに流転変化してしまう現象にだけ心を奪われ、うつつをぬかしている。末ばかり追って本を忘れている。それはあたかも牡丹の花の感覚的な美に心を奪われ、松柏の不易な美に無関心なのと似ている』ということを警告しているのである」とある。【松柏千年翠】
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関連リンク
- 禅林句集(国立国会図書館デジタルコレクション)
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