春入千林處々花
春は千林に入る処々の花
『北磵居簡禅師語録』他
春入千林處處花、秋沈萬水家家月。
春は千林に入る処々の花、秋は万水に沈む家々の月。
- 『北磵居簡禅師語録』では「秋澄萬水家家月。春入千林處處花」に作る。
- 類語に「春は千林に入る処々の鶯(春入千林處々鶯)」がある。
- 処々 … いたるところ。あちこち。
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「春は處處一様に花、秋は家家一様に月。法性は何處も彼處も一様だ」とある。【春入千林處處花秋沈萬水家家月】
- 『禅語字彙』には、「春は一樣の花、秋は一樣の月じや。季候各本分ありの意」とある。【春入千林處處花秋沈萬水家家月】
- 『句雙葛藤鈔』には「一片ノ花一片ノ月也」とある。【春入千林處處花秋沈萬水家家月】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……春になると、どこの林もみな一斉に芽吹き、どこもかしこも花だらけである。また秋ともなると、水という水はみな清く澄んで月をうつし、到るところことごとく月だらけである。(中略)およそ禅家ではよく『殺活』をいうが、(中略)肯定のときは全部肯定、否定の時は全部否定という言葉で要約している。(中略)この対句は、禅家の貴ぶそのはたらきと境涯とを、自然の景色に託して風雅に表現したものとして珍重されるのである。(中略)ともあれ、この一行、一切肯定、徹底活の極楽浄土の風光を詠じたものとみてよいであろう」とある。【春入千林処々花】
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