桃花依舊笑春風
桃花旧に依って春風に笑む
崔護「都城の南荘に題す」
去年今日此門中
去年の今日 此の門の中
人面桃花相映紅
人面 桃花 相映じて紅なり
人面不知何處在
人面は知らず 何処にか在るを
桃花依舊笑春風
桃花 旧に依って春風に笑む
- 題都城南莊 … 『全唐詩』巻368収録。なお、この故事については『太平広記』巻274に見える。
- 崔護 … 8世紀?~9世紀?。字は殷功。博陵郡(今の河北省衡水市安平県)の人。貞元十二年(796)、進士に及第。ウィキペディア【崔护】(中文)参照。
- 人面 … 人の顔。
- 不知 … 『全唐詩』には「一作祗今」との注がある。
- 何處在 … 『太平広記』『禅林句集』では「何處去」に作る。
- 依旧 … 以前と変わらず。去年と変わらず。
- 入矢義高監修/古賀英彦編著『禅語辞典』には、「……桃花のようだったあの人の顔は一体どこに消えたのだろうか、桃の花はもとどおり春の風に咲いているのに」とある。【人面不知何処去、桃花依旧笑春風】
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず、油斷するなよ」とある。【人面不知何處去桃花依舊笑春風】
- 『禅語字彙』には、「年々歳々、花相似たり、年々歳々、人相同じからず。油斷をすれば人に笑はるゝぞ」とある。【人面不知何處去桃花依舊笑春風】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「……この句は『桃花は去年と同じように美しく咲いているが、去年相見た人はもはやいない』という嘆きをこめた句であることがわかる。(中略)この一軸は、桃花の頃に催す故人の追憶尋思の茶会の掛物としては、まことに恰好なものである。(中略)『依旧』の二字を省いて『桃花笑春風――桃花 春風に笑む』と五字にすれば、桃花咲く頃の佳句として扱っておもしろいであろう」とある。【桃花依旧笑春風】
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関連リンク
- 禅林句集(国立国会図書館デジタルコレクション)
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