月落不離天
月落ちて天を離れず
『五灯会元』巻十六
〔福厳守初禅師〕
大衆且道、從甚麼處得。良久曰、水流元在海、月落不離天。
大衆且道、從甚麼處得。良久曰、水流元在海、月落不離天。
「大衆、且く道え、甚麼の処よりか得ん」。良久して曰く、「水流れて元海に在り、月落ちて天を離れず」。
- 水流元在海 … 『禅林句集』では「水流元入海」に作る。
- 入矢義高監修/古賀英彦編著『禅語辞典』には、「水はどこを流れても結局は海に帰り、月は落ちても天を離れることはない」とある。【水流元入海、月落不離天】
- 柴山全慶編『禅林句集』には、「種々に説示のしようは異るとも本分から離れはせぬ」とある。【水流元入海月落不離天】
- 『禅語字彙』には、「法は種々に説くも、悉く本分を離れずの意」とある。【水流元入海月落不離天】
- 有馬頼底監修『茶席の禅語大辞典』には、「あちこちを曲がりくねって流れる川の水は、結局海に到って一つになる。東から西に落ちていく月は、決して天から落ちることはない。全てのものは一に帰納する。世の中は多種様々なれども、その根源はひとつ。天地の法則といい、ほとけの命という」とある。【水流元入海 月落不離天】
- 芳賀幸四郎『新版一行物』には、「水や月をはじめ自然の万物・万象は、さまざまに変化してもついにその本分を離れることはない。(中略)人間もまた百川が海に帰し、月が天を離れないように、本分をいつも逸脱しないよう心すべきである。(中略)本分とは人として踏むべき道である。道といってはあまりにも堅苦しいというならば、人間の本心本性といってもよく、本来の面目あるいは真実の自己といってもよい。お茶を点てるのはむろんのこと、掃除をするのも料理をするのも真実の自己、歌うも舞うも本来の面目と、こうあることが『本分を離れない』ということである」とある。【月落不離天】
こちらの禅語もオススメ!
関連リンク
五十音順
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | な行 | は行 |
ま行 | や行 | ら行・わ |
月別
一月 | 二月 | 三月 |
四月 | 五月 | 六月 |
七月 | 八月 | 九月 |
十月 | 十一月 | 十二月 |
慶事 |